本研究は、応用一般均衡モデル等のマクロモデルを用いて不確実性がマクロ経済に与える影響を分析することを目的とする。そのために、昨年度において世界経済を描写する応用一般均衡モデル構築のために、GTAPデータベースを元にあらたなデータベースの基礎部分を構築したが、これをもとに不確実性を考慮した応用一般均衡モデルを実際に構築し、モンテ・カルロ・シミュレーションを行った。そのシミュレーション結果に関する予備的な考察について、経済産業研究所における応用一般均衡モデル分析に関するプロジェクト研究会や富山大学における経済学セミナーにおいて口答報告を行った。 応用一般均衡モデル以外のマクロモデルを用いた研究については、昨年度に研究成果のあった空間的部分均衡モデルを用いた電力市場分析について、モデルとデータの更新を行なって、経済産業研究所におけるDP検討会において口答報告を行った。この研究成果は、経済産業研究所のディスカッション・ペーパーとして公刊された。同時に、この内容はオペレーションズ・リサーチに関する国際学会(EURO XXI)において口頭報告された。くわえて、これまではデータが直接に得られる夏のピーク時間帯の1時間のみを分析対象としてきたが、このシミュレーション分析を拡張し、24時間、12ヶ月の分析を行った。この研究成果についてもまた、経済産業研究所における電力自由化および小規模ミクロモデル分析に関する合同研究会で口頭報告を行った。 今後は、上記研究成果を学術雑誌において公刊し、また、国際学会報告することを目指して研究を進めることとする。
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