研究概要 |
以下の2つのテーマについて,研究を行った. 一つは車検制度の有効性についての実証研究である.論文"Evaluating Automobile Safety Inspection Using Auto Insurance Data"をまとめ,2006年6月の日本経済学会において報告し,査読付き雑誌に投稿し,リバイズ要請を受けた. この研究では,自動車保険の個票データを用いて,車検の検査年に交通事故率が低下しているかどうかをテストした.その結果,運転者のさまざまな属性を考慮してもなお,車検制度が交通事故率を低下させていると言う結論は統計的に棄却されることが示された.この結果は,国土交通省が公表した車検制度の有効性についてのレポートの結果と大きく異なるものであったので,私は結論の違いがどこから生まれているのかについてのメモを公表したが,国土交通省からの反応は得られなかった. もう一つのテーマは,道路混雑がもたらす「事故外部性」についての実証研究である.1980年から2002年までの都道府県のパネルデータを用いて,「事故外部性」を計測したところ,追加的1台がもたらす外部性の大きさは米国よりも小さいが,追加的1マイル走行がもたらす外部性の大きさは米国よりも大きいことがわかった.この研究成果は,"Traffic Density and Accident Externality : A Japan-the U.S. Comparison "Tokyo Institute of Technology, Department of Social Engineering, Discussion paper 07-04としてまとめられており,今後,いくつかの国際学会で報告することを予定している.
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