研究概要 |
(1)"Capital Controls, Public Debt and Currency Crises"Shigeto Kitano(2007)Journal of Economics Vol.90, No.2, PP.117-142. 概要:本稿は、一般的な見解と逆に、資本規制が通貨危機を早める可能性を示すものである。理論的な分析によって、資本規制により政府の予算に追加的な負担が生じ、危機の発生が早まることが示される。資本規制の下では完全資本移動下と異なり、国内利子率が世界利子率と乖離する可能性がある。資本規制の下で、完全資本移動下より高い利子率が実現した場合、国内の公債に対する利払い負担が生じ、危機を早めることとなる。また、たとえ政府が資本規制により危機を遅らせることが可能な場合においても、その経済全体の厚生水準が完全資本移動の場合よりも低くなる可能性があることを示した。 (2)"Nominal Debt and Inflation Stabilization" ・神戸大学金融研究会(2006年12月9日)発表論文 ・現在レフェリー論文に投稿中 概要:本稿は、FTPL(物価の財政理論)の応用分野である「通貨危機の財政理論」の政策的含意が、高インフレの発展途上国でしばしば導入されるインフレ安定化政策においては、逆に不安定要因となる可能性があることを示した。
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