研究概要 |
この研究の目的は,行政の環境規制の施行について分析することである。2年間にわたる研究であり,1年目の今年度は行政裁量を想定した施行モデルの構築を目指した。現段階の分析結果は学内紀要にまとめられている。検証した内容は以下の通りである。 監査を通じ企業の法令違反を発見した際,行政は通常その企業を直ぐに処罰せずに改善命令を発動し法令遵守を促す。そして,企業が改善命令に従わない場合に改めて処分を下す。しかし時に,法令違反の発見時に直ぐに企業を処罰するいわゆる直罰規定を適用することがある。直罰規定の下で,行政は,監査で企業の法令違反を発見した段階で一定程度の罰則を課し改善命令を発動し命令に従わない段階でさらに厳しい処分行う,二段階施行を実施する。この研究では,簡単な経済モデルを利用し直罰規定を伴う二段階施行の効力を分析した。罰則金の絶対水準が増加した時,行政が相対的に監査活動を強化することが示された。 上記研究成果は今年7月に開催される環境経済政策学会で報告する予定である。また,二段階施行に関するデータ分析を開始しているが,今後実証研究の結果を付け加え論文を英文にし洋雑誌に投稿したいと考えている。また研究課程で,同僚の菅田一助教授と価格差別と環境規制の問題について分析し共同論文をEAEREと日本経済学会の年次大会で報告した。こちらは現在専門雑誌に投稿中である。 以上
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