本研究は、1990年代チリにおける新自由主義に基づく経済改革の成果について、理論的・実証的な研究を行うものであるが、本年度は9月上旬にチリで2週間の現地調査を行い、資料収集、ヒアリング調査、意見交換等を行うことによって、特に水道事業民営化に関する成果と課題について新たな知見を得ることができた。 資料としては、水道事業民営化の経緯が掲載された新聞・雑誌記事を国立図書館等で収集したほか、他の社会基盤事業において用いられたコンセッション方式の入札に関して、詳細なマニュアルを入手することができた。また、ヒアリングについては、これらの研究において顕著な実績を有するチリ大学応用経済学研究所ロナルド・フィッシャー教授等のヒアリングを行うことができた。また、水道事業監督局に赴き、資料を収集することができた。また、他の経済改革の研究に用いられる資料として、チリ国立統計研究所が発行する各種経済統計の各年度版を入手することができた。その他複数の研究期間に赴き、資料を収集したほか、研究者との意見交換も実現した。 これらの成果の一部は、それ以前の研究成果とあわせ、ラテン・アメリカ政経学会2005年度第42回全国大会(2005年2005年10月29日拓殖大学)において、「チリの水道事業の民営化問題」として報告した。 また、2006年5月発行予定の「ラテンアメリカ・レポート」(アジア経済研究所)に「1990年代チリの民営化政策とバチェレ新政権の展望」として論文が掲載予定であり、研究成果の一部が含まれている。
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