研究課題
本年度における主な研究実績は以下の通りである。1.ロシアの等価尺度の測定より適切な貧困測定のためには、適切な等価尺度を用いた貧困測定が必要になる。そこで、ロシア長期モニタリング調査(RLMS)の個票データを用いてロシアの等価尺度を推計した。その際、(1)1998年の金融危機以降の経済成長がロシアの等価尺度の推計値に影響を与えたか、(2)移行期ロシアの現状にあった等価尺度の推計方法はいかなる方法か、という点が考慮された。そこで、等価尺度の推計値の頑健性と妥当性を検討するために、1998年金融危機前後にあたる1994年と2002年の個票データを用いて、エンゲルの方法と主観的経済厚生方法の2つの測定方法から等価尺度を推計し、推計値を比較した。そして、理論的欠陥はあるがエンゲルの方法に基づく等価尺度の推計値が移行期ロシアの現状により適した推計値といえる、という結論を得た。この研究成果をまとめた論文はApplied Economics Lettersへの掲載が許可された。また、コンフェレンス(一橋大学経済研究所主催)において研究報告をおこなった。2.経済成長の都市・農村への波及効果と貧困削減前年度・前々年度に実施したモスクワ市とヴォログダ市におけるインタヴュー調査からの知見を踏まえ、1994〜2000年のロシアのマクロ経済状況が都市と農村の貧困層に与えた影響を比較分析した。この研究成果を、ロシアで実施されたワークショップ(ロシア国立高等経済大学)や国際学術会議(コロムナ国立教育大学)において研究報告し、海外の研究者たちからも手ごたえのあるよい反応を得た。またこの研究成果は、COEディスカッション・ペーパー(東京大学大学院経済学研究科)として公表されただけでなく、国際学術会議論文集(第一巻)に収められた。
すべて 2008 2007
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件) 図書 (1件)
Applied Economics Letters (掲載決定)
COE Discussion Paper Series (Graduate School of Economics, University of Tokyo) COE-DPF205
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