平成17年度は以下の研究・調査を実施した。 1.先行文献の整理 (1)産業集積に関する理論文献や事例研究の整理。 理論文献の整理は、インド小規模企業の産業集積を分析する際の方法論を提供する一方で、中国を中心としたアジア諸国やインドにおける先行事例研究の整理は、本研究で実際に調査を行ううえでのベンチマークとなる。 (2)企業の効率性に関する理論・実証文献の整理。 2.統計データの収集と分析 (1)小規模工業省が実施し、公表した第3回全インド小規模工業センサス(参照年度:2001-02年度)を購入した。そして、1991年の経済自由化以前に行われた第2回全インド小規模工業センサス(参照年度:1987-88年度)との二時点間比較を行った。集計データしか公表されていないため、これらのセンサスからは、記述統計量での分析が限界であるが、比較分析の結果から、(1)期待された雇用創出や輸出増加が顕著ではない、(2)製品の差別化や近代的技術・経営方式が導入されていない、(3)十分な信用が得られずに閉鎖や経営不振化する企業が増大しているなど、経済自由化以後も小規模工業全体としてはダイナミズムが欠如している現状が浮き彫りになった。 (2)企業のパフォーマンスを検討するため、個表データも入手した。ただし上述のように、小規模工業省からは小規模企業の個表データを入手できないため、代替的な措置として、統計・計画実施省が販売している未組織部門製造業調査の個表データを入手した。 3.現地調査の準備 調査地の選定のため、二度インドへ出張した。また、フィールドワークの経験がある研究者と面会し、調査を実施するうえでのアドバイスや調査協力の承諾を得た。
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