平成18年度は、次のような調査・研究を実施した。 1.産業集積や効率性に関する理論・実証文献の整理 昨年度に引き続き、企業の立地に関する理論・実証研究の整理と、企業の効率性に関する理論・実証研究の整理を行った。 2.小規模企業を含む製造業企業に関するデータの加工・分析 本研究の対象である「小規模企業」を管轄するインド政府・小規模工業省は、この部門に関する脱集計データばかりでなく集計データさえ経済自由化以降公表していない。そのため、代替的な措置として、二つの統計源から小規模企業の実態を把握することにした。(1)未組織部門製造業企業調査(Unorganized manufacturing enterprise survey)で集められた個票データ(2)年次工業調査(Annual Survey of Industry)による組織部門製造業企業のデータ。これら調査の概要を整理・理解した上で、分析を進めた。 3.研究会の実施 上記の中間成果を発表し、若手研究者から幅広く意見を得るため、東京と大阪で研究会を開催した。 4.現地調査 デリーで日系企業を中心に調査を実施した。また、現地の共同研究者と打ち合わせを行った。 5.研究成果の総括 1.〜4.の研究を通じて、1990年代以降、グローバル化とともに世界で起こっている新たな動き、FTAなど地域貿易協定の拡大が、小規模企業の立地行動にどのような影響を与えているか、という視点からの実証研究がほとんどないことが分った。次ページに挙げる研究成果のほか、現在はこの視点からも論立を執筆している。
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