研究概要 |
自国の高齢化が、外国の経済厚生に与える影響について分析する理論モデルを構築した。具体的には相対的に高い老年従属人口比率を持つ自国と相対的に低い老年従属人口比率を持つ外国からなる2国、1財、2期間世代重複モデルを構築し、自国の高齢化による貯蓄の変化が、経常収支の変化を通じ、外国の厚生に与える影響について考察を行った。主要な結果は以下のようにまとめられる。 自国が十分に高い老年従属人口比率を持つ場合、更なる長寿化の伸展は、賦課年金の社会保険料負担の増大を通じ、自国の貯蓄の低下を招く。自国の貯蓄の低下は、国際資本市場における資本供給の低下を通じ、外国の厚生の低下をもたらす可能性がある。またこうした枠組みのもとでは、自国の賦課年金給付の水準を縮小する社会保障改革を行うことで、国際資本市場における自国の資本供給の増加を通じ、自国と外国の両方の厚生を改善させる可能性がある。 以上の分析結果をDiscussion Paper"Spillover Effect of Population Aging, International Capital Flows, and Welfare"として整理した。
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