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2007 年度 実績報告書

カルテル防止に有効な制度設計を目指して-リニエンシー制度に関する理論・実験研究-

研究課題

研究課題/領域番号 17730192
研究機関名古屋市立大学

研究代表者

濱口 泰代  名古屋市立大学, 大学院・経済学研究科, 講師 (70399038)

キーワードリニエンシー制度 / 独占禁止法 / 囚人のジレンマ / 繰り返しゲーム / 入札談合
研究概要

本研究の目的は,カルテル抑止効果があると言われているリニエンシー制度(課徴金減免制度)について,実験経済学の手法を用いて制度設計を試みることであった。本年度は,論文"Group Size Effects on Cartel Formation andEnforcement Power of Leniency Programs"の追加実験をすべて終了し,論文を改訂しInternational Journal of Industrial Organizationに再投稿した。追加実験では,レフリーのコメントにしたがって,以下の3種類の減免制度について比較実験を行った。
(1)部分減免:カルテル行為を告発したプレーヤーが,部分的に罰金を免除される制度
(2)完全減免:カルテル行為を告発したプレーヤーが,完全に罰金を免除される制度
(3)報償:カルテル行為を告発したプレーヤーが,報償をうける制度
実験結果は,(1)と(2)においてはカルテル摘発率に有意な差は観察されなかったが,(3)においては,(1)および(2)よりも有意に高い割合でカルテルが崩壊した。この結果は,既存の理論研究とも一致する。
さらに,1人減免と全員減免についても比較した結果,減免を受けられる人数によって,カルテルが崩壊する率に有意な差がないことが確認された。
この実験結果が含意することは,通常,減免を受けられる人数を少なくすることによって,カルテル企業はより急いで内部告発を行うだろうという予測と矛盾するものであるが,理論的には整合的なものである。
ただ,もし減免を受けられる人数を増やすことによって,提出された証拠資料の法的妥当性を確認する行政コストが多額に上るならば,1入減免制度のほうが望ましいと考えられる。上記の内容で論文を改訂し,InternationalJournal of Industrial Organizationへ再投稿した結果,論文は採択された。現在掲載のための準備中である。

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公開日: 2010-02-04   更新日: 2016-04-21  

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