研究課題
19世紀前半、フランスの西アフリカ進出に際して活躍したフランス・ボルドーの商社であるMaurel et Prom社のセネガルでの史的展開を調査した。研究開始年にあたる本年度は、夏季休暇中に、セネガルのダカールに約1ヶ月滞在し、公文書館にて、Maurel et Prom社および、19世紀前半にセネガル総督とフランス海軍植民地省の大臣との間でやりとりされた往復書簡の記録および、当時、植民地で出された種々の官報および年報や統計、セネガル大学やブラックアフリカ基礎研究所などで発刊された研究論文などに目を通し、手書きでの書き写し、もしくはコピー・デジタルカメラで撮影する機会に恵まれた。この成果の一部は、2006年3月に刊行される紀要論文として発表した。もっとも、この時、この公文書館が所蔵するMaurel et Prom社に関する資料の多くは20世紀のものであることが判明したため、2005年9月にボルドーの県立公文書館へ赴いた際、所蔵しているはずの資料の閲覧を申請したが、開示する段階にないとのことで許可されなかった。実のところ、1980年代に、Maurel et Prom社から資料が委譲されたものの、特に閲覧希望もなかったとのことで、そのまま倉庫に収められ、キノコが生えている状態であるという。そこで、Maurel et Prom社はフランスの西アフリカ進出を歴史的に検証する際に無視することはできない企業であることを強調し、資料閲覧の申請を、2005年9月、ジロンド県および県立公文書館に対して文書で行った。その回答が、2006年1月に届き、閲覧許可が認められたことから、来年度は、フランスボルドーにて資料を検証し、さらに研究を発展させる可能性へと繋がった。一方、2005年12月に、海外のジャーナルに、アフリカの経済開発問題を、東アジアの経験を踏まえて考察する論文を発表する機会に恵まれたが、フランス語圏アフリカには、製造業よりも、資源加工業や商社が進出する傾向にあったこと等についても論じ、その際、本研究内容の一部が、論文に反映されることとなった。なお、本研究の内容は、来年度5月、大阪大学で開かれる日本アフリカ学会にて、19世紀のフランス-セネガル交易関係(仮題)として発表することになっている。
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金沢大学経済学部論集 26巻、2号(印刷中)
進化経済学論集(進化経済学会) 第10集(印刷中)
African and Asian Studies, Brill Academic Vol.4, No.4
ページ: 575-601