研究概要 |
本研究は、日本企業が国際競争力を発揮している「機能性化学」と呼ばれる製品群を分析対象として、日本企業が競争優位を発揮している背景・要因を実証的に明らかにすることを目的としている。機能性化学企業の競争優位に影響を及ぼす背景・要因としては、(1)歴史的経緯(ファースト・ムーバー・アドバンテージ等)が大きく影響を与えているケースと、(2)製品開発における組織能力やマネジメントが効いているケースとがあると推測される。したがって本研究では、「事業レベル」と「製品開発プロジェクト・レベル」の2つの視点から分析を進めている。 初年度である17年度は、(1)については、パイロット的な調査として、現在機能性化学企業として活躍している数社に対して、創業から機能性化学企業へと発展してきた経緯についてヒアリング調査を行った。本アプローチは現在分析の途中で、来年度以降成果としてまとめる予定である。(2)については、日本で高パフォーマンスを上げている機能性化学の代表製品の事例分析を行った。個別プロジェクトの成功事例分析を通して、機能性化学の製品開発では、自動車をはじめとした組立型産業と同様の、製品開発プロセスにおけるきめ細かいマネジメントがパフォーマンスに重要な影響を及ぼすこと。さちに、開発した製品を市場で成功させるためには、製品開発のマネジメントに加えて、デファクト・スタンダードの確立などの有効なビジネスモデルが必要なことが明らかとなった(桑嶋, 2005a,b)。
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