本研究は、日本企業におけるストック・オプション制度の有効性を検証することを目的としている。具体的には、個別企業のミクロ・データを用いて、ストック・オプションに関する実証分析を行っている。 さらに、これまで比較的大規模な上場企業を対象に行ってきた実証研究を踏まえ、その対象を新興市場上場企業・未公開企業にも拡張して同制度を総合的な視点から検証している。研究期間は3年間に設定した。本年度は研究の最終年度であり、これまでの研究成果を踏まえ、追加的な実証分析を行い、下記の論文をまとめた。本年度に実施した研究の詳細は下記の通りである。 第一に、これまでに実施した実証研究の追加的な分析を行うために、サンプル企業のガバナンス関連のデータセットを作成した。具体的には、各企業の役員構成や株式所有構造、資本構成など財務データ及び株価といったデータベースを構築した。さらに、上記の研究課題に基づいて実証分析を行った。 第二に、本年度も継続してストック・オプション制度を活用している未公開企業(通信産業)十数社について実態調査を実施した。さらに、同制度の導入に携わっている実務家にインタビューを行い、現在のストック・オプション制度の活用状況やその特徴、問題点などについての情報を収集した。 最終的に、"The Market Reaction to Stock Option Plan Introduction:New Evidence from Japan"に前年度からの研究の成果をまとめた(投稿準備中)。この論文では、ストック・オプション導入前後における長期・短期株価及び経営パフォーマンスの推移を検証した。対象期間は1990年代後半から2005年までである。分析の結果、日本企業においてストック・オプション制度の有効性を示唆する結果が得られた。
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