研究概要 |
研究期間の初年度である本年は,(1)関連する先行研究の綿密なサーベイ,(2)次年度以降に予定している本格的な実地調査に先立つパイロットスタディ,の主に2つの研究調査活動をおこなった。 (1)の先行研究のサーベイに関しては,過去20年にわたるアントレプレナーシップ研究の領域における経験的研究を対象にレビューを実施した。既存の研究成果から得られる知見をまとめるとともに,「地域の起業家活動におけるネットワークの役割」に関する今後の研究課題を整理した。当該レビューの成果については,すでに論文にまとめており,現在投稿中の状態である。 (2)のパイロットスタディに関しては,国内6地域を研究対象に取り上げ,各地で基礎資料の収集をすすめている。本年度にパイロット調査を実施したのは,(1)熊本地域におけるバイオ産業を中心としたネットワーク,(2)福岡県筑後地域における繊維産業を中心にしたネットワーク,(3)福井県鯖江地域における眼鏡フレーム産業を中心にしたネットワーク,(4)愛知県常滑地域における窯業を中心にしたネットワーク,(5)愛媛県今治地域における繊維産業を中心にしたネットワーク,(6)札幌地域における情報産業を中心にしたネットワークの計6つである。本年度は主に定性的調査手法を用いて基礎データを収集した。現在,入手した公刊資料を整理するとともに,計16本の聞き取り調査結果についてテープ起こし作業に着手し,データ化を進めている。本年度に実施したパイロット調査の結果に関しては,研究ノートとして公開を予定している。
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