本年度は、研究期間の2年度にあたり、初年度に引き続きデータ収集を行うとともに、いくつかの成果を公表を試みた。 データ収集については、主要なサイトである神奈川県の自動車ディーラーにおける参与観察を続けた。特に、本年度は販売現場での知識がどのように蓄積され、共有されるのかについて、実際の自動車販売の商談の観察や、営業スタッフの教育機会であるロールプレイの観察を行った。その結果自動車メーカーの意図は、製品レベル、メーカーの推奨する販売方式ともに、十全に販売現場に反映されているとは言えず、むしろ既存の営業スタッフの知識や経験との矛盾を抱えていることがわかった。その後、インタビューを中心に、こうした状況に関するスタッフ自身の理解についてデータを収集した。また、主たる研究と同様に自動車メーカーを発信源としながらもバリューシステム上の関連の薄い業界への知識移転についての調査も行った。たとえば、郵政公社やスーパーマーケットである。 本年度は、予備的な公表として、主たる研究対象となる自動車ディーラーを比較対象であるバリューシステム上の関連性の薄い業界における知識移転についての調査結果を公表することができた。 次年度は、最終年度であり、こうしたデータに基づいて、比較分析を試みる予定である。
|