研究課題
平成14年に宮城県石巻地域において韓国産牡蠣偽装(混入):事件が発生し、消費者の信頼を大きく損なう結果となった。そこで宮城県産牡蠣に対する信頼め回復が必要となり、その一方策として生産者から消費者までの一連のフードチェーンにおける信頼性を担保する仕組みである牡蠣トレーサビリティ・システムが導入・稼動している。しかし、これまで事件の当事者である牡蠣パック詰め業者に対し導入・稼動している牡蠣トレーサビリティ・システムの実態を明らかにするような調査研究がなされていない。そのため、本研究では前年度実施した事前インタビュー調査およびアンケート調査票の設計を受けて、牡蠣トレーサビリティ・システムの現状を広く把握するとともに、牡蠣トレーサビリティ・システムの課題を明らかにするためアンケート調査を実施した。調査期間は、平成19年4月26日から平成19年6月14日までで、宮城県内の牡蠣加工業者全54社ヘアンケート調査票を送付し、そのうち34社から回答を得た。アンケート調査結果から明らかとなった牡蠣トレーサビリティ・システムの現状および課題は以下のようである。(1)多くの牡蠣パック詰め業者は、平成14年に発生した韓国産牡蠣混入(偽装)事件の教訓から、「消費者に対する信頼」を取り戻すため牡蠣トレーサビリティ・システムを導入し、より一層の「顧客満足度の向上」を得ることを重要な経営課題としている。(2)約3割の牡蠣パック詰め業者が牡蠣トレーサビリティ・システムの導入に消極的であるが、牡蠣トレーサビリティ・システムの認知度は非常に高く、依然関心は高いと言える。また、アンケート調査期間中に同システムを導入中の企業があり、今後さらに同システムを導入する企業が増えると予想される。(3)牡蠣トレーサビリティ・システムの導入に大きな障害となっているのが、同システムの導入・維持費用が高いことである。(4)牡蠣パック詰め業務においては、新鮮な牡蠣を早く安全に包装することが最も重要な作業である。牡蠣パック詰め業者は牡蠣トレーサビリティ・システム導入の可否に関わらず、「安全(衛生)管理体制の徹底」に投力している。
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石巻専修大学研究紀要 第18号
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