研究課題
平成18年度は、どのような組織戦略が優れた映画コンテンツの生成に影響を与えているのかについて、定性的な方法と定量的な方法の両面から議論し、幾つかの整合的な結論を得るに至った。まず、単作ではなく継続的に成功し、革新的な製作スタイルを作り上げた3つの映画製作プロダクションを事例として取り上げ、その組織がどのように構成されているのかについて詳細に記述するという研究を行った。そこでは革新的な製作スタイルを構築しようとしたのが、特定の監督でもなければ特定のプロデューサーでもない、と結論づけられる。すなわち、誰かが意図的に構築しようとしたのではなく、先に監督やプロデューサーたちのパートナーシップが存在し、そのなかで彼らの特徴を活かした製作スタイルが創発されてきたのである。ここから示唆されることは多いが、もっとも重要なのは、特異な人的資源を獲得し、維持発展させること、換言すれば継続的なパートナーシップが有効であるということである。次に、上記の命題を確認すべく、定量的な実証を試みた。1999年から2004年にいたる6年間に公開された映画作品のうち、興行的に、そして芸術的に評価されたそれぞれ上位20作品の製作者たちのリストをデータ化し、どのような組合せが、より上位にランキングされやすくなるのかを、ネットワーク分析によって明らかにした。その結果、興行性に対しても、そして芸術性に対しても、狭くて継続的なネットワークが強く利いていることがわかった。これらは、上記の定性的な研究を実証する結果である。最終年度は、さらなる定量分析の深める(データ量を増やし、パス解析を用いて分析する)とともに、3年分の研究をまとめることにしたい。
すべて 2006
すべて 雑誌論文 (4件) 図書 (1件)
組織科学 39・3
ページ: 61-69
Career Development International 11・3
ページ: 230-242
Creativity and Innovation Management 15・3
ページ: 258-267
Working Papar, Institute of Economic Research, Kagawa University No. 118