研究概要 |
近年テレビゲーム市場が伸び悩むなかで,オンラインゲーム(インターネットを利用した,多人数で同時にプレイする形式のゲーム)市場が急拡大している。こういった状況を踏まえ,同市場における競争戦略,あるいはコンテンツ制作のマネジメントを模索する。それにより,今後インターネット環境の整備と共に成長を続けると予想されるオンラインゲーム市場で,日本のソフトメーカーが活躍するための方策を検討することができるのである。インターネット上の資料・あるいは各種団体が発行している資料を精査し,日本のオンラインゲーム市場を概観した。その結果、以下の点が浮き彫りになった。 1.日本においてオンラインゲームを運営している企業は大部分が韓国企業あるいは韓国企業に資金援助を受けていることがわかる。 2.オンラインゲーム市場においては、一旦優勢を築いたゲームは他のゲームとの差をますます広げる傾向、すねわち「ネットワーク外部性」が強く働くと考えられる。 3.個々のゲームについて見れば、(1)初心者獲得策(2)上級者引止め策(3)ゲーム内における良好な人間関係の維持といった3点を重視しているように見える。 4.多くのゲームが競争を始めた結果、月々の課金においては価格競争が起こり始めている。 これらの発見事実から、現在の業界ではいかにユーザーを早期に囲い込むかという点が競争の焦点になっていることが窺える。ただし、高い普及率を誇るテレビゲームと比較すれば、オンラインゲームのユーザー数はわずかであり、今後は大きな環境変動が起こりうる業界であると考えられる。そのため、引き続き業界分析を中心とした研究を行う必要があろう。
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