研究課題
平成18年度は、企業対象のアンケート調査に基づく実証研究を中心に研究を行った。流通チャネルの構造変化に影響を及ぼす要因である動的取引費用と組織能力に関する前年度の文献研究に基づいて、製造業者による卸売機能の内部化一外部化問題を取り上げた。製造業者は製品の販売にあたって卸売機能を必要とするが、その卸売機能は誰が担っても構わない。このとき、卸売業者が持つ卸売機能遂行の組織能力が高く、しかもその組織能力を製造業者が模倣困難であるならば、製造業者は卸売機能を外部化することとなる。この仮説について実証研究が行われ、研究成果は国際学会にて報告された。また、前年度に行ったアンケート調査に基づいた研究について、精緻化が進められた。第1に、日本の自動車流通において頻繁に観察されている製品形態確定の延期とそれを可能とする組織能力についての研究である。この研究については、国内・海外の複数の学会報告で査読者・討論者から頂いたコメントをふまえて修正し、現在、学術雑誌に投稿中である。第2に、流通チャネルの川上に位置する製造業者と流通業者との長期的取引関係に関する研究については、理論分析を中心としたマーケティング・サイエンス的な論文と、行動科学的な関係性マーケティング的な論文とに分割され、それぞれ国際学会で採択された。18年度の最後には、流通チャネル構造の川中に位置する卸売業者を対象として、アンケート調査を行った。現在、情報通信技術の革新に伴って、卸売業者の中抜きが社会的に問題視されている。しかし、卸売業者の介在・排除については、製品特性に基づく産業効果が大きく、卸売業者が持つ組織能力とその移転にかかわる動的取引費用についての研究は行われていなかった。研究成果については、現在、回収されたデータの分析を進めている。
すべて 2007 2006
すべて 雑誌論文 (6件) 図書 (1件)
流通研究 10・1
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