研究課題
本年度は、オーストラリアにおける医療提供システムを経営するための管理会計システムの実態の一部を明らかにした。オーストラリアにおいては洲により違いがあるものの、医療提供システムの管理会計ツールとして、共通バランスト・スコアカードに相当するものや、共通的な原価計算の仕組みが存在することが明らかになった。また本年度は、昨年研究したイギリスにおける医療管理会計のうちの常通原価計算制度およびその影響下での各NHS機関における原価計算についてさらに研究を進めつつ、論文としてまとめた。さらに、日本における一国医療提供システムレベルの共通原価計算及び各医療機関レベルでの原価計算についての調査を部分的に進め、イギリスとの対比及びイギリスからの示唆を整理し、医療原価計算に関する本を公刊した。日英豪(及び米)の医療原価計算の展開を見てみると、そこには相互に影響しあう共通原価計算と病院原価計算とがあるだけではなく、それぞれの原価計算において、基本思考(あるいは原価計算観)及び志向性を異にする複数種類の原価計算が存在することが明らかになった。また医療原価計算が実施されるようになる要因には、財の性質、提供組織、経営環境があるが、日英豪(及び米)での展開を見ると、とりわけ経営環境要因が強く影響していること、より具体的な経営環境要因としては、支払い及び公的規制制度、市場競争激度、調達市場の柔軟性、業界の経営管理体制整備度が影響を与えていることも明らかになった。
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会計 171(2)
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