研究概要 |
本研究は,アライアンスにおける組織間マネジメントコントロールの実態を解明することにある。本年度は,ジョイントベンチャー(JV)における組織間コントロールの解明を中心として継続的な文献レビューを行った。JVと戦略的提携は,複数組織が共同で投資し,合同委員会と合同作業グループといった組織編成を行うなど共通点が多い。しかし,JVにはフォーマルかつ法契約による組織間コントロールが機能している。この点から,経営実態が存在し,本研究の調査実現の可能性の高い。文献レビューからは,欧米企業とは異なって日本企業は現場や細部にこだわる経営スタイルであり,この点がJVのコントロールに反映されていることが判明した。また,日本企業と中国企業の合弁事業においては,日本企業から管理会計技法が中国企業に普及していない点など,組織間コントロールの欧米企業との違いも明らかになった。JVのコントロールは一様ではなく,取引特性,関係性特性,コントロール特性などを明確にすることも必要であるが,組織間のパフォーマンスへ与える影響は未だ解明されていない点もレビューより導出された。加えて,JVに関する管理会計研究は,ケースが中心でありサーベイ研究が比較的に少ない状況にある。このため,質問票調査の実施を企画するに至っている。ただし,理論上の知見を得ているが,統計による実証を行うように質問票調査の実施を優先させたため,研究雑誌等には成果発表を行っていない。これらの研究活動以外では,JVやアライアンスの実態把握につながるインタビュー調査や,国内外の研究者との打ち合わせ・情報交換から本研究にとって適切な研究方法論の確認を行っている。また,研究会(一橋大学2006年10月)にて上記の中間成果報告を行うとともに,2007年1月上旬のアメリカ会計学会管理会計セクションに参加して組織間管理会計の学界動向の把握に努めた。
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