研究概要 |
◎ABC/ABMの導入に関する研究 今年度の研究課題は,新たなABC/ABMなどの新たな管理会計システムの導入に伴い,組織ユニット・レベル(例えば,部門レベル)でどのような抵抗が生じるのかについて明らかにすることであった。そして,組織ユニット・レベルの抵抗の発生に影響を与える可能性のあるコンテクスト要因や各管理会計システムに固有の属性を,文献調査とインタビュー調査をもとに抽出することであった。現在,導入,チェンジに関する研究を中心に引き続きレビューを進めている状態である。 また,同時に,それに関連する形で研究を進めていた「ABC/ABMの導入時にその導入目的がどのようにして組織内で共有化されているのか」について,ケース・スタディーを実施した成果を海外で報告した。そこで報告したフル・ペーパーのproceedingsを通じて,ABC/ABMを導入する際にその導入目的を共有化させていくプロセスでトップ・マネジメントとミドル・マネジメント,およびアクティビティ・コスト情報が果たす役割を明らかにした。 ◎業績評価システムのチェンジに関する研究 今回の科研費申請テーマと関連して,業績評価システムのチェンジに関する研究のレビューも実施し,その成果を論文にまとめた。それが,以下の論文である。 近藤隆史・窪田祐一・相原基大・福田直樹(2006)「業績評価システムのチェンジ研究:知見と課題」,『経営と経済』(長崎大学経済学部)第85巻第3/4号,523ー546頁。 本論文では,(1)業績評価システムのチェンジの概念について解説し,(2)業績評価システムを構成するシステム設計面とシステム利用面について先行研究に基づいて知見を整理し,チェンジ研究に向けた課題を提示した。さらに,(3)組織成果との関係についても同様に考察した。
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