研究課題
2006年7月にはフランスにおける都市底辺層の社会運動団体のメンバーがシンポジウムのために来日したおりに、東京の山谷および大阪の釜ヶ崎地域を中心として、日本における都市底辺の不安定就労層の社会運動について聞き取り調査を共同して実施、比較研究のための議論を行った。東京では隅田川河川敷に居住する野宿者、大阪では西成公園、長居公園、扇町公園など公園に居住する都市底辺層の運動への聞き取り調査から、不安定就労層の運動は、貧困をめぐる運動という旧い社会運動の側面を持つと同時に、存在の承認を求めるアイデンティティ運動の側面を持つことが仮説として浮かびあがった。国の制度により運動の現れ方は異なるが、国の違い以上に、後期近代としての共通性が検討されるべき課題であることがわかった。2006年9月のフランスでは、都市底辺層を担い手とする「住宅への権利運動」に対する聞き取り調査を前年度に引き続き行った。本年度は、都市底辺層の社会的プロフィールを中心にデータを収集した。移民出身であるだけではなく、雇用形態が都市サービス業に集中していること、シングルマザーや、離婚した単身者など、特定の家族形態が運動の担い手の多数を占めていることがわかった。こうした社会的プロフィールと争議の形態の特徴の関係を今後検討する必要があることがわかった。その他、社会運動についての文献の収集を行うとともに、担い手の動員の過程をミクロな視点から考察する上で、近代の特徴としての「自立した自由な個人」という概念に裏付けられ個人化した社会と社会的排除の関係を考察した文献を収集し、いくつかの考察はすでに論文として発表した。
すべて 2006
すべて 雑誌論文 (10件)
Peoples for Human Rights : Human Trafficking and Racism : Exploring the Links between Marginalization and Exploitative Migration vol.10
ページ: 84-93
現代思想 第34巻第9号
ページ: 155-167
M-ネット 2-3月号
ページ: 4-5
部落解放6月増刊号:人権キーワード2006 567号
ページ: 144-147
寄せ場 19号
ページ: 254-256
女性白書2006(ほるぷ出版)
ページ: 72-75
よくわかる社会学(宇都宮京子編)(ミネルヴァ書房)
ページ: 140-141
信濃毎日新聞 2006年7月17日文化欄
ページ: 10
移住女性が切り拓くエンパワメントの道-DVを受けたフィリピン女性が語る(カラカサン・IMADR-JC編)(解放出版)
ページ: 7-13
IMADR-JC通信 no.146
ページ: 13-14