• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2007 年度 実績報告書

社会的排除から抵抗へ-フランスにおける不安定就労層の争議に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 17730300
研究機関茨城大学

研究代表者

稲葉 奈々子  茨城大学, 人文学部, 准教授 (40302335)

キーワード社会的排除 / 社会運動 / 移民 / フランス / 社会統合 / アフリカ / 非正規滞在移民 / 社会権
研究概要

パリで住宅への権利運動を中心とした争議に参加する都市底辺労働に従事する移住労働者に対して聞き取り調査を行った。福祉国家型の社会統合機能が弱体化するなかで、貧困層の社会権行使は、当事者の当該社会での社会的地位を決定する重要な要素となる。フランスでは、労働運動など、かつて争議を担った主要な社会運動が衰退しており、労働者コミュニティも機能せず、貧困問題への対応が個人化する傾向にある。こうしたなかで1990年代以降活性化してきた社会的排除を争点とした新しい争議は、社会的排除社会といわれる現代社会における社会統合のあり方を考察する上で重要である。
本調査では、争議への参加は、移民出身者の場合に出身コミュニティによる規定の度合いが大きいことが明らかになった。当事者のアイデンティティの準拠先が出身コミュニティにある場合には、フランスにおいて経験する社会的排除が、個人的責任として自己認識されない傾向にあることは、前年度までの調査で明らかになったことだが、今回の聞き取り調査では、職業や家族構成が与える影響についても聞き取りを行った。
非正規滞在移民については、フランスでの争議の経験が、出身国に帰還したのちに及ぼす影響についても調査を行った。とくに争議の中心を担うマリ人について、バマコにおいて聞き取り調査を行った結果、フランスの出身コミュニティとのつながりを保ち続けているソニンケの場合は帰国後も社会統合が比較的容易であるのに対して、出身コミュニティと切り離されている者の場合、争議をへて獲得したフランスからの資源がまったく得られなくなり、マリにおいても社会的排除を経験していることが分かった。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2007 その他

すべて 雑誌論文 (2件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] フランスにおける労働破壊-プレカリアートの倫理と新しい『資本主義の精神』2007

    • 著者名/発表者名
      稲葉, 奈々子
    • 雑誌名

      現代の理論 7

      ページ: 24-30

  • [雑誌論文] 封じ込められた抵抗2007

    • 著者名/発表者名
      稲葉, 奈々子
    • 雑誌名

      ディ・プレッセ IV

      ページ: 4-11

  • [備考] 茨城大学研究者情報総覧

    • URL

      http://info.ibaraki.ac.jp/scripts/websearch/index.htm

URL: 

公開日: 2010-02-04   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi