研究課題
本年度の研究は以下の2本柱で展開した。まず理論研究としては、環境社会学の近年の諸研究を踏まえつつ、社会学および関連分野におけるコモンズ論、公共性論、NPO論・市民社会論、社会運動論、(環境)ガバナンスに関する諸議論を中心に整理検討した。あわせて、多様な主体の協働関係の成立条件に焦点をあわせるため、コミュニティ意識やコミュニティの権力構造、コミュニティ政策と住民参加という基礎的な議論を押さえた上で、近年のNPO・市民参加、公共性、エンパワーメント、主体間の調整(コーディネート)に関する近年の研究動向を整理した。次に実証面では、これまで継続的に調査を行ってきた大分県大野川流域に加えて、奈良県川上村(吉野川)をフィールドとする新たな調査を開始した。これらの地域は、いずれも、多様な主体が川への新たな働きかけ・関与を展開しているという点では共通しているが、主導しているアクターのみならず、展開されている活動のタイプや、流域開発等の社会背景、主体間の関係性も大きく異なっている。今年度についてはさしあたり、川上村当局をはじめとする行政関係者への聞き取り調査とダム開発や郷士史等の関連する文献資料の収集を中心に進めた。以上のような研究成果を踏まえつつ、研究業績として2つの雑誌論文「地域環境管理の計画決定過程と市民参加-大分県大野川の河川整備計画から」および「Strategies and Framing of a New Anti-dam Movement : A Case Study in Kesennuma, Japan」を発表した。
すべて 2006
すべて 雑誌論文 (2件)
奈良女子大学社会学論集 13号
ページ: 77-92
Annual Report on Research and Education : Faculty of Letters, Nara Women's University(奈良女子大学文学部研究教育年報) Vol.2
ページ: 111-122