台湾の台北市(2005年8月31日、2006年2月21・24日)とシンガポール(2006年5月22・26日)において、60歳以上の高齢者を対象に、生きがいと世代間関係に関するインタビュー調査を行った。インタビュー調査はインタビューガイド使用し、内容は基本属性、経済状況、健康状態、居住形態、家族・友人との交流・社会的活動・ライフイベント・生きがいなどである。台湾は台北市政府社会局および孫得雄教授(台湾大学)、シンガポールは湯玲玲準教授(シンガポール国立大学)の協力を得た。台北の対象者は18名(公立ナーシングホーム5名、私立ナーシングホーム3名、デイケアセンター10名)で、平均年齢は80.5歳であり、シンガポールの対象者は19名(ネイバーフッドリンク10名、リタイアメントセンター5名、ナーシングホーム4名)で平均年齢は73.2歳であった。インタビューの結果、高齢者は週末には同居していない子や孫(低学年)と頻繁に会う傾向が見られた。その場合、子や孫が高齢者の自宅に訪問することが多かった。同別居にかかわらず、台湾とシンガポールの高齢者は、子や孫との結びつきが強かった。またほとんどの高齢者が子から経済的サポートを受けていた。また子や孫との密接な交流を通して、日常生活の喜びや楽しみを感じている様子がうかがえた。子や孫などの世代間の関係は密接だが、現在単身、夫婦のみ、未婚子との同居の高齢者は将来、家族と同居できるかについて不安をもっていることが明らかになった。しかしナーシングホーム入所者のほとんどは子供がいない、もしくは家族と疎遠であり、生きる活力、喜びや楽しみを見出せない状況が浮かび上がってきた。各地域によって施設などの形態は異なり、単純には比較できない。施設入所者、ディケア参加者など各少グループの数を増やしてさらにその共通性などを検討していく必要がある。
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