第1段階として、先行研究の検討を行った。まず、東アジアの社会保障、社会政策、社会福祉を研究テーマとする最近の文献を収集し文献研究の準備を整えた。日本語文献については福祉国家や福祉政策の形成過程、知識人と社会(あるいは社会政策や社会保障)社会学、社会福祉学、政治学、行政学などの分野における知識人と社会、知識人と社会政策等を研究主題とした文献にあたった。英語文献においても、近年の国際比較研究の動向や、インタビューなどの質的方法を用いた研究文献を収集した。韓国語の文献は主に現地で購入、または国立国会図書館等で閲覧、コピーした。韓国については、民主化運動と社会主義、近年の社会運動と政治との関係性を分析することの必要性がわかった。 第2段階としては、過去の一次資料を韓国現地の図書館(韓国国立国会図書館、韓国保健社会研究院図書室等:在ソウル)で収集し、その内容と要旨などを整理した。(1)韓国の知識人による「社会保障」をめぐる議論に関する資料としては、入手可能なものとして社会保障研究者による社会保障論のテキスト(1970年代以降)、保健社会部社会保障審議委員会による研究報告書(1960年代以降)、韓国社会問題研究所「社会保障研究者大討論会報告書」(1983〜)をできる範囲でコピーした。(2)近年成立した制度の形成過程を記録した資料としては、『国会保健社会委員会会議録』『保健福祉白書』『労働白書』などがある。会議録に関しては韓国国会図書館のデータベースにて閲覧可能。白書は過去のものに関してはデータベースから入手可能なものは図書館にてプリントアウト、購入可能なものは購入した。資料の分析は今後行う。
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