本研究の目的は、身体が加工可能なものとして提示され、しかも加工に対する許容度が大きくなった現代社会において、主体がどのようなものとなっていくのかというモデルを提示することである。そのために整形手術(プチ整形を含む)という事象を扱う。本年度は、(1)整形に関する文献・資料の収集と理論的検討、(2)整形に関するメディア情報の収集と分析、(3)アンケート調査、(4)整形手術経験者へのインタビュー、(5)主体モデルを仮説として検討することを予定していた。 (1)(2)の文献・資料・メディア情報の収集と分析はおこなっている。これらは来年度以降も継続したい。(3)のアンケート調査は東海・関西地区の大学で実施し、すでにデータ入力も終えている。現在は分析中である。(4)の整形手術経験者へのインタビューは、本年度は国内のインタビュー、来年度は海外のインタビューを予定していたが、海外でのインタビュイーが見つかったことから、本年度から韓国とドイツでおこなった。テープ起こしは完了し、現在翻訳作業を進めているところである。また、フィールドノートをまとめたところ、韓国とドイツにおける身体観と日本のそれとの違いが発見できた。詳細は翻訳作業を終えたところで、論文として書き表す予定である。(5)主体モデルの仮説を検討した結果、これまでとは異なる現代的な主体のあり方の可能性を模索できた。
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