平成17年度は、メキシコ国ユカタン州ヤシュナ村を訪問し、メキシコではめずらしい住民ボランティアによるゴミの分別プロジェクトを調査した。コアメンバーの経済事情から、プロジェクトは頓挫していたが、リサイクル分別施設の見学や、経緯の聞き取りなどから、条件さえそろえば継続可能な事業であることがわかった。また、ゴミの分別プロジェクト以外にも、1996年から、村の自治委員会を立ち上げて行われているエコツーリズム事業なども行っており、観光事業の持続可能な経営を目指すためにも、英語教育や経済状況の改善が必要であるといえる。今後、聞き取り調査や、住民の意識調査を行いながら、村の意思決定過程を分析するとともに、環境教育セミナーやワークショップなどの企画を行い、持続可能な地域型環境管理のケーススタディ研究を行う。 また、筑波大学大学院システム数理情報研究科住田潮教授の専門指導を受け、数理モデルの開発による人工社会における意思決定構造分析を行った。基本モデルは、特性をもつ8グループによって構成される人工社会上で住民投票が行われた際の意思決定過程をシミュレーション解析するモデルである。この基本モデルは、査読付き論文として、数理社会学会の学会誌「理論と方法」に掲載された。主なパラメーターの感度分析についても、香港で行われたInternational Conference of Information and Businessで報告を行った。今後、パラメーター感度の詳細な分析を行うとともに、より理論的な数理モデルの開発を行う。
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