本研究は、文化・歴史社会学的手法を用い、日本における人体模倣の技術、思想、「もの」それ自体(人体模型、マネキン、ロボットなど)の変遷、さらにそれに対する人々の共感および違和感を考察するものである。 文献に関しては、京都大学、国際日本文化研究センターを拠点とし、文化・歴史社会学的手法を用いて多様な資料の収集につとめた。生産開発の視点にとどまらず、そこに受容者の視点を盛り込むため、文学系資料や、映像資料にも手をだした。ここでは、硬い資料と柔らかい資料を、どう組み合わせていくのかという課題が残った。本年度の研究は、来年度からはじめる聞き取りや考現学的手法などを用いたフィールドワークとどう組み合わせるのかをさぐる作業でもあった。 また、研究のアドバイスは、国際日本文化研究センターの共同研究班「性欲の文化史」の参加者や、相対研究会(於京大会館)の参加者から得ている。社会学はいうまでもなく、人類学、歴史学、教育学、科学史や身体論、ジェンダー論、セクシュアリティ論などの視座から学際的アドバイスをえることができている。 いろんな人からアイディアをもらうため、テーマを紹介して回っている。その結果、京都大学人文科学研究所で開かれている「フェティシズムの文化・社会的文脈」研究会で、2005年10月に発表を求められた。そして、「人体模倣を越えて-日本におけるダッチワイフの変遷を中心に-」というタイトルで発表を行った。このため、現在計画中の「フェティシズム叢書」(仮題)へ執筆するよう依頼がきた。
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