研究課題
本研究の目的は、アメリカ合衆国(以下、米国と記す)において様々な高齢者団体・組織からの要求や異議申し立てとそれに対応する当該政府の政治的判断・選択・交渉を通じて形成される<高齢者医療福祉制度>をめぐる政治を構築主義の視点から読み解きつつ、米国の高齢者はいかにして諸制度を利用し、またそれらが人々の語りによって表象されているのかを明らかにすることを通じて「米国の高齢者医療福祉制度における老いと死をめぐる表象の政治」を解明することである。したがって、本研究は構築主義の視座から米国におけるマクロレベルの「高齢者医療福祉制度をめぐるポリティックス」とミクロレベルの「高齢者のアイデンティティ」を接合する、言うなれば「高齢者医療福祉制度をめぐるミクロ・ポリティックス」とでも呼びうるアプローチからの研究となる。本研究の特色は、従来のこれまでの社会政策学や社会保障論や経済学の領域での先行諸研究とは異なり、高齢者医療福祉制度をめぐる表象の政治を高齢者のアイデンティティに照準することを通して考察し、そのダイナミズムや機制を剔出せんとする点にある。以上のような研究目的から、平成17年度は、はじめに米国の高齢者医療福祉制度に対する社会政策に関する膨大な資料分析を渉猟し、先行研究のレビューを行った。また、当初予定していた米国調査は研究代表者の体調が著しく優れなかったために来年度に実施することにし、そのため本年度は米国の高齢者医療福祉制度の実践あるいは研究に関わったことのある関係者からのインタビュー調査を同時に行うことで、平成19年度のフィールドワークの準備作業を行った。以上の調査を前提にした広範な先行諸研究の文献研究は来年度早々にも発表を行う予定である。その上で、こうした作業を下地に幾つかのレビュー論文を完成させ、米国の老年社会学関連の学会での発表ならびに学会誌への投稿を行う予定である。
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社会学評論(日本社会学会発行) 221号(Vol.56,No.1)
ページ: 214-215
家族研究年報(家族問題研究会発行) 30号
ページ: 17-34
部落解放研究くまもと(熊本県部落解放研究会発行) 45号
ページ: 1-35