我が国の介護に関する法政策は急転直下にある。そのなかで介護の専門職はその資格制度のあり方についても再検討を迫られているが、その資格の創設期から「利用者の人権擁護」を掲げてきた。そのため、このスローガンは生活支援を理念化してきたまま、その部面では高次として維持されている。そこで、この研究では、この維持に関する専門職のリーガルプロフェッショナルとメディカルプロフェッショナルとの交錯的な専門業態をふまえつつ、そのリーガルプロフェッショナルの機能の持続性に関して研究を発展させてきた。上記のような状態にありながら、介護専門職における医療職との類似性を取り上げてパラメディカルとしての一面を検証する研究があるものの、そのパラリーガルとしての一面を検証する研究はあいかわらず少なく、その角度からの基礎的検証がますます必要だと考えられた。 本年度はその介護専門職の法務を整理しながら、全国の介護専門職を対象に介護業務における実態の調査を行い、その行為選択の基礎になっている法的判断について調査のうえリーガルアプローチの構造を仮説し、研究を発展させた。 ◇具体的には以下の手順・方法で研究計画どおり実施した。 (1)全国の介護職に対する質問とインタヴューの実施 (2)介護法務における各活動要因の抽出と整理 (3)介護業務における行為規範性の検証 (4)介護専門職におけるローヤリングの傾向分析 (5)介護専門職におけるパラリーガルとしての規範的アプローチを解析 (6)文献研究を合わせた理論の検討 (7)the University of Oregon in the USを中心としたParalegalsの実態調査・検証 (8)学会への参加と発表 (9)研究成果物の執筆 以上のとおり、当該研究計画に従った手順・方法でこの研究を実施し、よって計画通りの水準で一定結果を得るに至った。さらに、この成果を整理して各方面の研鑽を受けたので、今後の研究上の発展が見込まれる。 これらの実績については、検証を反復的に行ないつつ、その成果を示しうる一連の著作活動を遂行した。 このことによって、次年度以降の継続研究における研究上の円滑な発展性に、より一層の期待が持てるものと思料する。
|