研究概要 |
2003年度日本福祉大学AGESプロジェクト調査対象自治体のうち,調査の承諾が得られた愛知県の2自治体を対象に調査を行った. 調査対象地域での現地調査・対象地区地図データの取り込みにより高齢者の外出行動の目的施設・道路・公共交通路線等を網羅し,GIS上に経緯度座標での落とし込みを行った.これらの情報に加え,2003年と2004年度AGESプロジェクトの4万人Cross-sectional調査データの分析結果を元に調査票の検討・作成を行った.調査項目は,当初予定していた外出頻度,外出先,身体的要因,心理的要因,社会環境的要因,IADL,利用交通手段などの項目に加え,「閉じこもり」先行研究のレビューを通じて重要であると考えられた,外出や社会参加についての家族の理解や支援,高齢者の安心できる・気兼ねなく行くことのできる外出先(居場所)などを追加した. また,本研究計画が2時点の調査票調査を行うというメリットを生かし,対象自治体の一部で「閉じこもり」予防・解消を目的とする,新しい介護予防事業を大学と自治体,自治体内の住民組織の共同により準備中である.同事業は生活圏レべルに物理的・心理的にアクセシビリティの高い拠点を形成し,高齢者の社会参加・ソーシャルネットワークの形成を促進することを目的としている.社会参加・ソーシャルネットワークは「閉じこもり」の関連要因であり,この要因への介入により地域全体の「閉じこもり」の発生を抑制することが可能であると考えられる.この変化を2時点の調査票調査によりとらえることで,「閉じこもり」予防事業の効果評価を行うことが可能になる.調査票の設計にあたっては,評価に用いる社会参加状況を捉えるための項目,潜在的な社会参加需要・外出需要を測るための項目を重点的に強化した. 対象地域に調査票を配布し,現在回収・集計作業を行っている.
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