研究最終年度である本年には、2年目である平成18年度末に実施した医療従事者対象の質問紙調査の分析結果を部分的に国内外の学会で発表した。具体的には周産期医療従事者の学術交流の場である日本母子衛生学会第48回年次大会と、周産期医療に対する心理学的アプローチを試みる欧州の助産師が組織するSociety for Reproductive and Infant Psychologyの第27回年次大会で成果のうち、それぞれのオーディエンスのニーズの高い項目の分析結果を発表し、内外の助産師から今後の研究への大きな期待が寄せられた。その期待に答えるべく、年度後半には第2調査を実施した上で再分析したデータを今後発表すべく、原稿を執筆中である。また成果の一部を11月23日の「ひらめき☆ときめきサイエンス」(HT3097)で高校生対象の公開講座として発表したところ、県立高等学校の看護科から団体の参加があった。このように「誕生死ケア」については医療現場や教育現場からのニーズが大変高いことが確認され、これ自体が本課題の最大の成果であると言える。しかしながら、平成19年9月開催の社会言語科学会では発表申し込みが却下されるなど、国内で心理学やコミュニケーション学の分野では概して評価が低く、本課題の総まとめのために申請した平成20年度の科学研究費補助金についても不採択となり、今後の研究継続が困難となった。現在は、心理学分野一般にアピールできる部分が本課題の成果のどこにあるのかを模索している。
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