平成17年度は、インターネットを中心とするメディアの使用のパーンと、自己開示およびサポート提供との関係を主に検討した。具体的には、関東圏の高校生を対象に2時点のパネル調査を行った。調査で用いられた質問紙には、日常生活におけるメディア使用のパターンや、自己開示およびサポート提供の内容、心身の健康状態等を測定する項目が含まれていた。そして、メディアの使用パターンと、自己開示およびサポート提供の内容の関係について検討するために、構造方程式モデリング(SEM)による分析を行った。分析モデルには、交差遅れ効果モデルを用いた。 その結果、特にインターネットの使用が、自己開示の量および内容に関係することが明らかになった。例えば、ホームページや掲示板を読んだり、掲示板やメーリングリストに書き込みをしたり、チャットを行うほど、他者への自己開示が全体的に多くなっていた。また、宿題や勉強のためにインターネットを使ったり、インターネットで知り合った人とやりとりしたり、新しい友達を作っている人は、他者への自己開示が全体的に増えることが明らかになった。自己開示の研究では、相手からの自己開示を受けるほど、自分からの自己開示も増えていくことが知られているが、自分から意見を発信する機会だけでなく、人の意見に触れる機会も増やすインターネットは、人の自己開示の量を増加させる有用なツールとなりうると言える。 なお今後は、追加で実施した3時点目の調査データを元に、インターネット使用が自己開示およびサポート提供の内容や量に及ぼす影響のみならず、そのような使用が心身の健康に及ぼす因果関係についても引き続き検討を進めていく予定である。
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