研究課題
近年わが国では、キャリア選択に困難を抱える若者達が増加しつつある。学卒後も不安定就労をっづけるフリーターや、仕事をせず学校にも行かず、教育訓練の機会にも参加しないニート、就職後早いうちに職を退いてしまう早期離職など、いずれも増加の傾向にある。こうしたなか、大学教育の立場では、学生から社会人への移行を円滑化するための働きかけが、これまで以上に重要であるとの認識が高まり、職業をテーマにした授業を開講するところが増えてきた。しかし我が国では、キャリア教育に関する研究の蓄積が少ないため、各所が行う教育成果を測定・評価し情報を共有するための基盤づくりが遅れている。本研究は、わが国の若者層のキャリア意識・態度の特徴を検討すること、そして彼等に効果的なキャリア支援の在り方について提言を行うことが主な目的としている。初年度である17年度は、既存の調査研究にあたり若者のキャリア意識やキャリア支援に関する情報収集と質問紙を用いた調査分析によって、現代の若者層に特徴的なキャリア意識の構造について明らかにした。2008年度は、前年度に得られた研究成果の発表・公刊、および、大学における少人数制クラスにて行うキャリア教育のプログラムを構築し、予備的実施により効果を検討した。具体的には、"自己を知る"、"社会を知る"、"選択をする"というキャリア選択の3要素を念頭においたかたちで講義、学生によるRJP、ディスカッション、外部講師による講話、各種質問紙の実施と採点・評価等を盛り込んだ構成になっている。効果の測定は、キャリア選択に対する自己効力、結果期待、キャリア探索行動の変化について測定した。結果として、自己効力とキャリア探索にプログラムへの参加前後に有意な得点の上昇がみとめられた。すなわち、同プログラムは、キャリア選択に必要となる行動を成功裏に行えるとの自己効力の認知を好ましいかたちに変化させ、学生を自己や社会に対する探索活動へと結びつける効果があるといえる。これらの結果を受けて、2007年度はさらにプログラムの精錬してその成果を発表、公刊する予定である。
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キャリア教育研究 24巻・2号
ページ: 1-10
Japan Labor Review Vol.3, No.2
ページ: 28-42
日本労働研究機構 調査研究報告書 (印刷中)