研究課題
1.エスニック・アイデンティティ関連の文献レビュー:これまでのエスニック・アイデンティティに関する研究を整理した。これにより、従来の欧米を中心に進められてきたエスニック・アイデンティティ研究は、個体主義的な観点が主流であったことを示し、本研究の立場が、社会や他者との関係性の中で形成されるエスニック・アイデンティティに注目するという点において、独創的である点を示した。2.エスニック・アイデンティティに関するインタビュー調査の実施:韓国、中国、台湾、インドネシア、タイ、イスラエル、アメリカの各国出身者(計35名)に対してインタビュー調査を実施した。インタビューでは、自身のエスニシティの来日による変化、変化の理由として考えられる日本での経験(主に、日本人の彼らに対する態度や評価など)など、思いついたことを自由に回答してもらった。3.分析:インタビュー調査の結果を分析した。これにより、次の点が見出された。1)エスニック・アイデンティティへの視点としての文化、名のり、ふるさと性:エスニック・アイデンティティが、自身の出身文化への感情・認知、日本における名のりの形態、自身の育った場所に対する愛着などと強く関連し、これらに注目した分析が有効であることが示された。2)エスニック・アイデンティティ形成の関連要因:その関連要因として、個人的要因だけでなく、日本社会や日本人々の態度など社会的要因が存在することが明らかにされた。3)名のり形態の関連要因:エスニック・アイデンティティのエンブレムとされる名のり形態の関連要因として、日本社会や日本の人々、および、対象者にとっての重要他者の外国名に対する態度など社会的要因が重要な役割を果たすことが示された。4)1)〜3)の総括:本研究で明らかにされた社会的要因の重要性により、本研究の立場である社会的構築性、相互主観性に注目することの重要性が示唆された。
すべて 2006
すべて 雑誌論文 (3件)
東京理科大学紀要 教養篇 38
ページ: 229-244
Paper presented at Society for Research on Identity Formation Thirteen Annual Conference, March 23,2006,San Francisco, California, U.S.A.
Paper presented at the 11th Biennial Meetings of the Society for Research on Adolescence, March 23-26,2006,San Francisco, California, U.S.A.