本年度は、公園、スーパーマーケット、主要駅構内など、さまざまな公共の場において、子ども連れの家族を対象とした自然観察を行った。公園においては、予備観察として数10組の親子の観察を実施したのち、行動カテゴリーを整理し、データシートを作成した。これに基づいて、本観察を実施し、主として就園前の子どもと親の距離関係や遊具の使われ方、相互作用の詳細を調べた。子どもの年齢との関連や、誰が子どもに付き添っているか(母親か、父親か、祖父母か)による比較も行った。また、以上の観察とともに、同じく就園前の子どもがいる親に対し、公園を訪れる頻度や時間帯、公園を選ぶ基準等についてもインタビュー調査を行った。 およそ100組におよぶ観察データの分析により、1歳から2歳の子どもと親は、身体接触の頻度が高く、2歳以降は親子の距離がしだいに広がっていくことが明らかになった。また、両親に比べ、祖父母は、孫である子どもと比較的近い距離を保つ傾向にあることもわかった。さらに、母親が子どもとどのような距離を保つかは、夫が一緒に公園に来ているかどうかによって異なることもわかった。 以上のことから、子どもにとっての物理的な刺激を伴う公園という場が、親と子の関係の発達を理解する、ひとつの指標として有用であることが示唆された。インタビュー調査については、現在、分析を進めているところである。 本年度はまた、前年度(平成17年度)から継続してきた日誌調査も行った。これについては、前年度に収集したデータも含め、現在、インタビューデータの文字化を進めているところである。
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