研究概要 |
研究1;親役割従事を対象とした大規模縦断調査では、首都圏の保健所、病院の協力を得て、平成14,15年度に第1子を出産予定の夫婦総計約1000組の調査参加を得た。この参加者を対象に妊娠期(1回目調査)、出産後6ヶ月(2回目調査)と調査を実施してきたが、本年度は産後1年(3回目調査)、2年(4回目調査)時点の調査を実施した。発表は1回目調査、2回目調査の解析を行ない、妊娠期の夫婦の状況(中山ら,2005)、妊娠期の夫の仕事役割が妻に及ぼす影響(福丸ら,2006)、妊娠期の夫婦の仕事役割の状況と親となる意識とのクロスオーバー関係(小泉ら,日本心理学会第69回大会発表論文集p.1138)、産後6ヶ月時点における夫婦の仕事役割の状況と親となる意識のクロスオーバー関係(小泉ら,日本発達心理学会第17回大会発表論文集p.323)を行なった。クロスオーバーの分析では、妊娠期、産後6ヶ月ともに、夫/妻それぞれの仕事役割の状況が妻/夫の親となる意識に影響を及ぼすことがわかった。研究2;親役割従事を対象としたインテンシブ調査については対象者を募集、選考調整中である。 研究3;親役割非従事を対象とした大規模縦断調査、研究4;親役割非従事を対象としたインテンシブ調査については不妊夫婦を対象として不妊治療中から治療終了後数年にわたる縦断的研究を予定しているが、まず中心となる不妊ストレス尺度の開発と不妊ストレスの特徴を明らかにした。全国7生殖補助医療施設に通院する女性500人を対象とした調査で、配偶者との関係、不妊検査・治療に対する不安、配偶者の親との関係、医師との関係、自身の親との関係、仕事と治療との両立、妊娠に対する不安、治療の苦痛の8下位尺度からなること、人工授精以降の場合に不妊検査・治療に対する不安、医師との関係、仕事と治療との両立が高くなること、医師との関係を除くすべての下位尺度が精神的健康を予測した(小泉ら,2005;Koizumi et al., 2005)。 本研究1-4について当センターの倫理審査を受け承認を得た(承認番号17-5-6)。
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