研究概要 |
本研究では、a)傾聴スキル、主張スキル、問題解決スキルから構成される集団社会的スキル訓練プログラムのこれまでの実践を整理すること、b)予防・開発的な対応を学校で実践している教員らとともに研究会を組織して同プログラムをより良いものにすること、c)研究会の検討を経た同プログラムを中学校で実践し、その効果を検討することを目的とした。本年度は、上記のうち、a)及びb)を目的とした。 まず、目的a)に関して、中学校2年生の学級における集団社会的スキル訓練の実践に関するデータの入力・解析を行い、集団社会的スキル訓練の社会的スキル及び学校適応に及ぼす効果について検討した。その結果、社会的スキル及び人づきあいに関する自己効力感の向上が確認された。学校適応に関しては、女子において学校享受感の増加が認められた。しかし、ソーシャルサポートの増加やストレス反応の低減を、見いだすことはできなかった。この結果については、日本行動療法学会でポスター発表をした(宮前義和 2005 中学校学級における集団社会的スキル訓練の試み(3)日本行動療法学会第31回大会発表論文集,224-225.)。また、それ以外の実践についてもデータの入力を行った。来年度以降も引き続いて、実践の整理・検討を行い、知見を蓄積させ課題を明らかにしていく予定である。 目的b)については、予防・開発的な対応を学校で実践している教員らとともに、「予防的教育相談研究会」を組織した。「予防的教育相談研究会」のメンバーとしては、教育センター研究員、養護教諭等も含めて集団社会的スキル訓練を多面的に検討できるようにした。来年度以降は、同プログラムの検討を通じて、集団社会的スキル訓練の理論的側面の検討も行っていきたいと考えている。
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