<薬物依存治療施設との連携体制の構築> 薬物専門外来を有する病院や民間治療施設などの治療機関との信頼関係を構築した。具体的には、東京都立松沢病院、国立精神・神経センター武蔵病院(以上東京)、セルフ・サポート研究所(市川・沖縄)、復興会垂水病院(神戸)との協力体制である。 <嗜癖重症度指標日本語版(Addiction Severity Index-Japanese ; ASI-J)の標準化> 依存症重症度評価の指標として世界的に普及している構造化面接である嗜癖重症度指標(ASI)の日本語版を、上記施設に入院・通院する薬物依存症患者111名を対象に実施した。面接は専門のトレーニングを受けた精神科医・臨床心理士合わせて5名で行い、合わせて断薬期間・抑うつ(CES-D)・精神的健康(GHQ12)・3ヶ月/6ヵ月以内の薬物再使用の有無など、他変数についても測定を行った。統計解析の結果、おおむね十分な信頼性と妥当性を確保する値を得、依存性薬物に対するASIの標準化をほぼ完了した。 <渇望感インデックス(Craving Index ; CI)の開発着手> 並行して、薬物再使用の兆候まで幅広く捉えることを意図した薬物渇望感尺度(渇望感インデックスと命名した)を開発するため、先行研究の整理を行うと共に、依存症治療を専門とする精神科医4名に薬物再使用のシグナルとなる認知・行動を特定するためのインタビューを行い、項目を整理し尺度としての体裁を整えた。
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