研究課題
fMRIを用いて、運動刺激観察時の大脳視覚皮質の応答を測定する実験を行った。第一に、動く視覚刺激が視覚皮質中の網膜部位対応表現に与える影響を調べた。知覚的には動きによって位置がずれて見えるにもかかわらず、初期視覚皮質における表現にはそのような痕跡が見られなかった。V1-V3における結果については、類似の研究を行っていたStanford大学のグループと協議の結果、共同論文を準備中である。V5野(MT/MST)に関する別の実験では、やはり知覚と対応する脳内表現の証拠は得られなかった。V6野などさらに頭頂側の部位については現在、引き続きデータの解析を行っている。第二に、輝度変調に基づく一次運動と、コントラスト変調に基づく二次運動の検出に関わる脳内機構を推定するため、fMRI順応法を用いて検討する実験を行った。結果として、一次、二次の運動刺激それぞれに対してMT/MST野における有意な順応効果が見られたが、一次、二次相互間の順応効果は見られなかった。この結果は、初期段階において、一次運動刺激と二次運動刺激が異なる神経メカニズムによって処理されていることを示す強い証拠といえる。これまで心理物理、生理、神経心理など各方面にわたって続けられてきた論争に対する重要な手がかりとなる、大きな成果を得ることができた。現在、初期段階の結果についての論文を投稿中である。
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Vision(日本視覚学会2006年冬季大会発表論文集) 17(1)
ページ: 51
Perception 34
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Journal of Vision (supplement : VSS 2005 abstracts) 5,8
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