本研究の目的は、大学に所属する外国人留学生や研究者の配偶者の適応に関する調査を行い、配偶者の適応・不適応の原因やメカニズムを探りながら、配偶者及び留学生・研究者にとって、どのような受入体制が望ましいのか、検討・提案を行うことである。 今年度の研究としては以下のようなことを行った。予備調査を行う前に、留学生・国際交流担当者に配偶者の問題や生活状況に関してヒアリングをおこなった(京都大学、大阪大学、神戸大学)。そのうえで、どのような項目に焦点をあてて配偶者に聞き取りを行うかの検討を行った。その項目を元に、3名の配偶者に聞き取り調査を行った。その結果、配偶者の問題は、多種多様で多岐に渡っていることが浮かび上がった。しかし、共通の問題として、以下のようなことが存在することが明らかになった。 一点目は、来日直後の周囲のサポートの有無が、その後の適応の度合いに大きく関わっていることである。特に、宿舎近辺で生活するためのサポート(日本語教育、医療情報等)があった配偶者は、適応が早いと推察された。二点目は、日本語教育の有無との関係である。日本語をある程度身につけていないと、生活は困難になることが明らかになった。三点目は、留学生や研究者である配偶者のサポートである。配偶者は、留学生よりも遅れて来日するケースが多いが、その時点で宿舎が決定していたり、配偶者が日本語クラスやボランティア団体を下調べしている場合は、適応が早いと考えられた。 今後は、以上のような適応原因をふまえた上で、アンケート項目を作成し、適応しやすいパターンとそうでないパターンをアンケート調査によって導き出す予定である。
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