研究概要 |
本年度の研究では,米国およびわが国の地方小規模教育委員会に関わる検討を進める上での理論的枠組みの構築を目指した。先行研究,政策文書等における到達点と課題について,とりわけ現在,注目を集めている学力政策に中心的焦点を当てながら,地方教育委員会(米国では学区,日本では市町村レベルを中心)の動向を分析する視点と方法,ならびに現在の動向に関する検討・考察を進めた。 特に,全国世論(メディア等での言説分布等),地域世論(学力政策への要望等),上位政策機関からの指示等の政策入力に対して,地方教育委員会間の水平的競合およびそれを促す制度的環境の整備(学力政策に関わる各種指標の情報収集と公開等),外部組織からの支援システム(大学等の研究機関,民間教育産業等)の配置,首長部局との関係性等の政策過程の違いが,学力政策の厳格性や手法を規定する側面が確認できた。 また,理論的検討に加えて,その妥当性と今後の発展課題の検証と,米国における実際の取り組みに関する聞き取りと各種資料の入手を目的として,米国インディアナ州へ調査旅行に赴き,同州ブルーミントン大学教育政策研究センター,同教育学部,Monroe郡教育委員会事務局(Monroe County Community School Corporation)において聞き取り調査と資料収集を実施した。 以上の諸点を中心として,学会における研究成果発表(日本教育制度学会,関西教育行政学会など)および学術論文の発表・投稿を行っている。
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