1.沖縄県内および海外の郷友会活動に関する基礎調査の実施 (1)平成17年7月下旬から石垣島の各集落で開催された豊年祭に参加し、郷友会との共同関係について参与観察を行った。その結果、石垣島の四ヶ字や平得、白保の豊年祭では、郷友会の位置づけはないものの、個々人で帰省する郷友が多い。一方黒島では、石垣在黒島郷友会および沖縄黒島郷友会らの全面的な協力の下、奉納舞踊やパーレ競漕が行われ、郷友会との強固な関係が確認された。 (2)国頭村奥郷友会については、次年度に具体的な調査を実施する。 (3)平成17年12月下旬からは、沖縄県系人が最も多く暮らすブラジルにおいて、県人会組織を中心に聞き取り調査と資料収集を行った。ブラジル沖縄県人会では、移民100周年を2年後に控え、役員も一世から二世へと移行しつつある。県人会の主な活動は、支部と呼ばれる居住地毎の活動にあり、会館を拠点に沖縄文化の伝承が行われていた。さらに、支部以外にも市町村人会、字人会と呼ばれる同郷組織が重層的に存在していることを確認した。特に小禄田原字人会では、母村の伝統行事「コシユックイ」を開催するなど、世代を超えて集落の伝統が継承されている。 2.「戦後沖縄の郷友会と地域の共同性に関する調査」の実施 琉球新報社編『郷友会』(1980)に掲載された郷友会を基礎に、那覇・島尻郡・中頭郡を除く字公民館300館に対し、郷友会に関する質問紙調査を実施した。回答〆切が3月末であるため、データ分析は回収後の次年度の課題となるが、3月22日現在で41館より回答を得た。現段階で見える特徴は、過疎地であっても最初から郷友会をもたない集落がある一方、石垣島や西表島のように、入植によって形成された集落では、母村の郷友会を島内で結成するなど、集落の歴史性や地域性によって様々な形態の郷友会が存在することが、少なくとも明らかになっている。次年度では、さらに米軍基地によって集落を失った郷友会組織についても追加調査する予定である。
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