平成17年度の研究では、アメリカにおける政教分離の制度成立史に関する資料等を検討するために、10月にマサチューセッツ州ボストン及びその近郊のセーラム・プリマスにて実地調査を行い、マサチューセッツ植民地の神権体制についての資料などを収集した。また、17世紀に宗教と政治とを分離するという特徴的な政治体制をとったロードアイランド州プロヴィデンスのThe First Baptist ChurchとRoger Williams National Memorialを訪問し、ロードアイランド植民地の創設者であるRoger Williamsの研究者との意見交換を行い、アメリカの政教分離成立とアメリカ最初のバプテスト教会がどのような関係があるのかという点について、最新の研究成果に触れることができた。特に、アメリカ最初のバプテスト教会についての資料は、アメリカ宗教史の先行研究ではあまり触れられてこなかったが、独立期にいわゆる「独立の父」たちを応援したバプテスト派のロードアイランド州での状況を理解する上で、非常に有益であると考える。 それと同時に、アメリカの小学生への教科指導上、宗教的知識をどの程度教えられているかという資料も入手することができたが、これは、現在のアメリカにおける教育と宗教の関係を探る上で重要な資料のひとつといえる。 国内では数回にわたり東京大学アメリカ太平洋地域研究センターにて、政教分離に関する最新の研究成果を分析することができ、また聖学院大学で主催されているピューリタン研究会に参加し、特にバプテストに関する最新の研究成果に触れることができたことにより、アメリカにおける政教分離制度とバプテストの教義的理解との関係性を考察する上でのさまざまな視座を得ることができた。なお、これまで得た主な資料を基に18年6月に行われる日本キリスト教学会での研究報告を予定している。
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