今年度は、私立大学を中心に、資金配分の多様化がどのように、またどの程度に起こっているのか、何が問題となっているのかを、財務データを分析などから明らかにした。授業料依存の性質を強めている私立大学の中で、新しい変化がどこに起きており、それにどのような意味があるのかを整理した。こうした点については、2005年5月の日本高等教育学会で「私立大学の財務構造の変容-時系列マクロ分析からのアプローチ-」を題する発表を行った。また、同年9月の本研究科大学経営・政策センター主催の「大学経営と高等教育政策に関する国際シンポジウム」において、"Changes in Finances of Private Institutions in Japan"と題する研究成果の発表を行った。 ひきつづき、実証分析を進めており、この成果については、2006年春に日本高等教育学会で発表することとなっている。 またこうした資金源の多様化のインパクトについて、海外でもさかんに研究が行われているため、先行研究の検討をすると同時に、海外の研究者と直接に意見交換する機会をできるだけ得て、こうした実態をどのように捉えるべきかの理論の精緻化を行った。これについては、2005年7月のCHEPSサマーセミナーで報告を行っている。また、関連して、日本の教育費の特徴を、国際比較から検討したものとして、雑誌「ちいさいなかま」にもまとめた。 来年度については、いくつかの大学をとりあげて事例研究を中心に行い、これまでの研究で出された仮説の検証をすすめていきたい。
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