本研究は、進路多様校と呼ばれる高校の生徒を対象として、入学から卒業まで3年間で合計5回の質問紙調査を実施し、各質問紙調査の間の機関にインタビュー調査や観察調査といった方法で質的調査を実施することを計画している。これにより、進路が多様となったといわれる現代の高校にいて生徒たちがどのような要因によって進路選択を行っていくのかをリアルタイムで把握することを目指している。さしあたり17年度は、調査対象となる5校の高校生を対象として2回の質問紙調査と複数回のインタビュー調査・観察調査を実施した。第二回のアンケート調査では約1400名、第二回調査では1300名の生徒の量的データを収集し、これに加えてのべ50名程度の生徒インタビュー、20名程度の教員インタビュー、進路ガイダンス業者へのインタビュー、進路説明会の観察調査などを実施した。この過程で、物品購入、謝金、印刷、データ入力など、交付申請書の計画にほぼ一致する形で予算を使用した。具体的なデータ分析結果の集約は来年度の課題であるが、このような量的な調査データと質的な調査データを有機的に組み合わせる研究方法論が、当該分野では希少であり意義があると判断し、その方法論と研究デザインに関して、研究協力者数名とともに日本教育社会学会において発表し、また大阪大学教育学年報に論文を執筆した。来年度は、第三回のアンケート調査の実施、および今年度収集したデータの分析などを中心に研究を進める予定である。
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