研究概要 |
教師個人の主観的な印象が入りやすく,また紙面による方法のみでは困難である関心・意欲・態度の評価について,その実用的かつ指導改善の上で効果的な評価方法の開発が渇望されている。本研究は,日本の熟練した数学教師による評価方法の特徴の解明を通して,指導要録の改訂を契機とした,観点別評価における関心・意欲・態度の分析的な評価についての必要性の高まりにこたえる上で,児童・生徒の関心・意欲・態度についての評価方法の開発に着手した。初年度である平成17年度は,評価観点の質的な精緻化を行うために必要な資料・文献・情報の収集整理を行った。これらは数学教師が教室において評価を実施する上で最適な項目数の探究や,その評価に基づく指導改善法の開発を実施する前提となる必要不可欠なデータといえる。理論面では,ブルーム(Bloom, B.S)のAffective Domainやシュプランガー(Spranger,E.)の「生の形式」を手がかりに関心・意欲・態度における階層次元を探究した。実践面では,また画像及び音声情報関連装置を活用し,授業及び教室現場の情報を収集するだけでなく,教科書の該当頁や生徒の記述記録など補助資料を合わせて確保した。また熟練教師による算数・数学の授業を収録・集約できるアーカイブを設置し,そのプロトコル分析と教師への授業前後インタビューとそのプロトコルを手がかりに関心・意欲・態度を観察,解釈するために,生物的欲求心であるEmotion(情動)と,簡潔・明確・統合などの数学的な価値実現を指向するFeeling(情意)の大枠から評価観点の抽出を行った。
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