研究概要 |
平成18年度は,平成17年度に実施した教員の授業改善に対する意識調査を分析,整理を行った。この結果,授業改善の取組みは教師にとって授業実践とは別の特別なものであるという認識をもたれていることが明らかとなった。また、授業改善の有用性は認めつつも、手間がかかるということから取組みに対して消極的になっている側面があることが明らかになった。さらに,質的情報が必要と考えながらも,客観的なデータによる改善に終始してしまう傾向があることが明らかになった。この結果は,日本体育学会で口頭発表を行い,その後,論文にまとめ,埼玉大学の研究紀要に発表した。また,質的な授業分析の方法についてこれまでの調査をもとにより簡単に簡便化して行う為にワークシートの修正を行った。これを埼玉大学の大学院生の2つの修士論文における分析方法の中心として位置づけて研究を進めていった。その結果,例えば,運動有能感であれば,これまで量的な尺度では見逃されていた側面を質的な授業分析で読み取ることができ,教師の授業改善に大いに役に立った。また,小学校でソフトバレーボールの授業を通じ,毎時間質的な授業分析を行いながら,授業を修正を行うことで,形成的な授業評価が有意に高まったことも明らかとなった。しかしながら,未だに時間のかかる分析である為,有効ではあるが,手軽さという点では,課題が残った。そこで,平成19年度には,学習評価と一体となった授業評価として授業分析法を提案していきたいと考える。
|